○患者等搬送事業者に対する指導及び認定に関する要綱
平成29年3月31日
消防本部訓令第4号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 指導基準に関する事項(第3条~第15条)
第3章 認定基準に関する事項(第16条~第31条)
附則
第1章 総則
(1) 患者等 健常者以外の者及び車椅子又はストレッチャー等を必要とする者をいう。
(2) 患者等搬送事業 患者等の搬送をするために必要な構造又は設備を備えた自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を用いて、患者等を医療機関への入退院、通院及び転院並びに社会福祉施設等への送迎のために搬送をする業務をいう。
(3) 患者等搬送事業者 患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 認定事業者 第18条の規定による認定を受けた患者等搬送事業者をいう。
(5) 乗務員 患者等搬送用自動車に乗務し、患者等搬送事業に従事する者をいう。
第2章 指導基準に関する事項
(患者等搬送事業の基本原則)
第3条 患者等搬送事業者は、患者等及び関係者からの通報を適正に処理し、及び患者等の搬送技能を向上するよう努めなければならない。
2 搬送をする対象者は、緊急性のない患者等でなければならない。
3 患者等搬送事業者は、患者等搬送業務の社会的責任を十分に自覚し、関連法規を遵守しなければならない。
(消防機関との連携)
第4条 患者等搬送事業者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、119番等により、患者等の居る場所、状態、既往症及びかかり付けの医療機関等を消防機関に通報し、救急自動車を要請しなければならない。
(1) 患者等からの要請があった時において、緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合。この場合においては、併せて乗務員を派遣しなければならない。
(2) 患者等が搬送を依頼した場所に到着した時において、緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合
(3) 患者等の搬送途上において、症状の悪化等により緊急に医療機関へ搬送する必要がある場合
(乗務員の要件)
第5条 車椅子及びストレッチャー等を固定することができる患者等搬送用自動車による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18才以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てなければならない。
(1) 別表第1第1項に掲げる消防機関が行う基礎講習を修了した者
2 車椅子のみを固定することができる患者等搬送用自動車(以下「患者等搬送用自動車(車椅子専用)」という。)による患者等搬送事業の乗務員の要件については、満18才以上の者で、次の各号のいずれかに該当する者をもって充てなければならない。
(1) 前項各号に掲げる者
(2) 別表第1第2項に掲げる消防機関が行う基礎講習を修了した者
4 適任証及び適任証(車椅子専用)(以下「適任証等」という。)の有効期間は2年間とする。ただし、前条第1項で定める定期講習を受講した者についてはさらに2年間有効とし、それ以降も同様とする。
5 適任証等の交付を受けた者が、適任証等を亡失し、又は滅失したときは、患者等搬送乗務員適任証等再交付申請書(様式第5号)により消防長へ適任証等の再交付を申請することができるものとする。
6 患者等搬送事業者は、乗務員の応急手当技能を適切に管理するため、適任証等の交付を受けた乗務員に対し、2年に1回以上、前条第1項で定める定期講習を受講させなければならない。
(適任証等の携行)
第8条 乗務員は、患者等搬送業務に従事するときは、適任証等を携行しなければならない。
(患者等搬送事業の体制)
第9条 患者等搬送事業者は、車椅子及びストレッチャー等を固定することができる患者等搬送用自動車1台につき、第5条第1項の要件を満たす2名以上の乗務員をもって患者等搬送事業を行わせるものとする。ただし、退院等を目的とした搬送をする場合又は医師若しくは看護師等が同乗して搬送する場合は、当該乗務員を1名とすることができる。この場合において、搬送時の環境等により安全な搬送が困難と認められる場合は、必要な人員を充てなければならない。
2 患者等搬送事業者は、患者等搬送用自動車(車椅子専用)1台につき、第5条第2項の要件を満たす1名以上の乗務員をもって患者等搬送事業を行わせるものとする。ただし、搬送中に容態急変の可能性が高い場合又は搬送時の周辺環境等に安全を確保することが困難な場合は、医師等を同乗させ、又は当該乗務員を2名以上とする等必要な体制を確保しなければならない。
(患者等搬送用自動車の要件)
第10条 車椅子及びストレッチャー等を固定することができる患者等搬送用自動車は、次に掲げる構造及び設備を有するものでなければならない。
(1) 十分な緩衝装置
(2) 換気及び冷暖房の装置
(3) 乗務員が業務を実施するために必要なスペース
(4) 車椅子及びストレッチャー等を使用したまま確実に固定できる構造
(5) 携帯が可能な通信機器等連絡に必要な設備
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)は、次に掲げる構造及び設備を有するものでなければならない。
(1) 十分な緩衝装置
(2) 換気及び冷暖房の装置
(3) 乗務員(車椅子専用)が業務を実施するために必要なスペース
(4) 車椅子を使用したまま確実に固定できる構造
(5) 車椅子の乗降を容易にするための装置
(6) 携帯が可能な通信機器等連絡に必要な設備
(患者等搬送用自動車の外観)
第11条 患者等搬送用自動車の車体には、第19条に規定する認定マークの表示を行うものとする。
2 患者等搬送用自動車は、サイレン又は赤色警告灯を装備する等救急自動車と紛らわしい外観を呈してはならない。
(積載資器材)
第12条 患者等搬送用自動車は、別表第4に掲げる資器材を積載しなければならない。
(消毒の実施等)
第13条 患者等搬送用自動車及び前条に規定する積載資器材の消毒は、次により行わなければならない。
(1) 毎月1回以上定期消毒を行うこと。
(2) 使用後消毒を行うこと。
(3) 医師からの指示に基づき消毒を行うこと。
(安全衛生管理)
第14条 患者等搬送用自動車及び第12条に規定する積載資器材は、点検整備を確実に行い、清潔保持に努めなければならない。
2 乗務員の服装は、患者等搬送事業を実施するのにふさわしいものとし、清潔保持に努めなければならない。
(事業案内)
第15条 患者等搬送事業者は、パンフレット等による患者等搬送事業の案内には、救急隊と同じレベルの活動ができるかのような表現は避けなければならない。
第3章 認定基準に関する事項
(認定対象となる患者等搬送事業者)
第16条 患者等搬送事業の実施に係る認定をすることができる患者等搬送事業者は、道路運送法(昭和26年法律第183号)に定める次の者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(3) 特定旅客自動車運送事業の許可を受けた者
(4) 自家用有償旅客運送の登録を受けた者
3 消防長は、患者等搬送事業者認定マーク及び患者等搬送用自動車認定マーク、又は患者等搬送事業者認定マーク(車椅子専用)及び患者等搬送用自動車認定マーク(車椅子専用)(以下これらを「認定マーク等」という。)を交付したときは、認定事業者台帳(様式第16号)を作成するものとする。
(認定の有効期間)
第20条 認定の有効期間は、当該認定を受けた日の翌日から起算して5年とする。
(認定の更新)
第21条 認定事業者は、認定の有効期間の満了後も引き続き認定の更新を受けようとするときは、当該有効期間が満了する日の1か月前から満了する日までの間に消防長へ申請しなければならない。
(認定マーク等の再交付)
第22条 認定事業者は、認定マーク等を亡失し、又は滅失したときは、認定マーク等再交付申請書(様式第17号)により消防長へ認定マーク等の再交付を申請することができるものとする。
2 消防長は、前条の規定による申請を受けたときは、申請書の内容を審査し、認定マーク等を申請者に交付するものとする。
(事業の休止等)
第23条 認定事業者は、患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し、又は廃止したときは、患者等搬送事業(休止・廃止)届出書(様式第18号)により消防長へ届け出なければならない。
(事業内容の変更)
第24条 認定事業者は、患者等搬送事業認定(更新)申請書の内容を変更したときは、患者等搬送事業内容変更届出書(様式第19号)により消防長へ届け出なければならない。
(認定の失効)
第25条 認定事業者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該認定事業者の認定はその効力を失うものとする。
(1) 道路運送法に定めるところにより、国土交通大臣の許可等が取り消され、又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(3) 認定の有効期間が満了したとき。
(認定事業者の責務等)
第26条 認定事業者は、前章に規定する患者等搬送事業に関する指導基準(以下「指導基準」という。)を誠実に履行しなければならない。
(1) 患者等を搬送中、容態変化があり、応急処置を実施し、又は救急自動車を要請した場合
(2) 患者等を搬送中、交通事項等を発生させた場合
(3) 感染症に罹患した患者で、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)に定める感染症類型の疾患に該当する等、他の利用者に影響を及ぼす感染症患者を搬送した場合
(4) その他報告が必要と認められる事案が発生した場合
(認定事業者の調査等)
第27条 消防長は、年1回以上、認定事業者に対し、指導基準の履行状況について調査するものとする。
2 消防長は、前項の規定による調査の結果から不適事項があると認めたときは、指導基準及び認定基準等に適合するように指導するものとする。
(認定の取消し)
第28条 消防長は、次の各号のいずれかに該当するときは、認定を取り消すことができるものとする。
(1) 認定事業者が指導基準を遵守しないとき。
(2) 患者等搬送事業の遂行に当たって重大な事故を発生させたとき。
(3) その他認定を継続することが不適当と判断されるとき。
(認定マーク等の返納)
第29条 認定事業者が、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく認定マーク等を返納しなければならない。
(1) 第25条の規定により認定が失効したとき。
(2) 前条第1項の規定により認定が取り消されたとき。
(3) 認定マーク等の再交付を受けた後において、亡失した認定マーク等を発見したとき。
(委任)
第31条 この要綱の施行に関し必要な事項は、消防長が別に定める。
附則
この要綱は、平成29年4月1日から施行する。
別表第1(第5条、第6条関係)
1 基礎講習 乗務員(乗務員(車椅子専用)を除く。)の講習課目等
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急措置 | 13 |
体位管理要領 | 2 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 |
搬送法 | 2 |
修了考査 | 2 |
合計 | 24 |
2 基礎講習 乗務員(車椅子専用)の講習課目等
課目 | 時間数 |
総論 | 1 |
観察要領及び応急措置 | 9 |
体位管理要領 | 1 |
消防機関との連携要領 | 2 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 1 |
搬送法 | 1 |
修了考査 | 1 |
合計 | 16 |
備考
1 課目の1時間は、45分とする。
2 講師は、次の各号のいずれかに該当する者とする。
(1) 救急隊長として3年以上の実務経験を有する者で、消防長が適任と認めた者
(2) 消防大学校の救急科課程の修了者で、消防長が適任と認めた者
(3) 消防学校の救急科課程の教官として2年以上の経験を有する者で、消防長が適任と認めた者
3 修了考査は、次の内容とし、80点以上をもって合格とする。
区分 | 課目 | 配点 |
実技 | 観察要領及び応急措置 | 60点 |
筆記 | 消防機関との連携要領 | 20点 |
車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 20点 | |
合計 | 100点 |
別表第2(第5条関係)
分類 | |
1 | 救急救命士の資格を有する者及び消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第51条に定める救急業務に関する講習課程を修了した者 |
2 | 日本赤十字社の行う応急措置に関する講習を受けた者で、資格の有効期間内の者(消防機関の行う適任者講習に不足する課目がある者にあっては、消防機関の行う講習を受講した者に限る。) |
3 | 上記1及び2に掲げる者以上の知識及び技能を有すると消防長が認めた者(医師、助産師、保健師、看護師、准看護師、医学士、看護学士等) |
別表第3(第6条、第7条関係)
定期講習
課目 | 時間数 |
観察要領及び応急措置 | 2 |
体位管理要領 | 1 |
合計 | 3 |
備考
1 課目の1時間は、45分とする。
2 講師は、別表第1備考2に掲げる者とする。
別表第4(第12条関係)
1 車椅子及びストレッチャー等を固定することができる患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 AED |
備考 その他の資器材のうちAEDは、任意の積載とする。
2 患者等搬送用自動車(車椅子専用)に積載する資器材
項目 | 資器材名 |
呼吸管理用資器材 | バッグバルブマスク ポケットマスク |
保温・搬送用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら |
創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
消毒用資器材(車両・資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 AED |
備考 次に掲げる資器材は、任意の積載とする。
(1) 呼吸管理用資器材のうちバッグバルブマスク
(2) 保温・搬送用資器材のうち敷物及びまくら
(3) その他の資器材のうちピンセット及びAED